虫歯、歯周病に次いで、歯を失う原因の3番目に挙げられるのは「破折」です。
破折の中でも歯冠部分が割れてしまうことを「歯冠破折」といい、歯茎の中の歯根部分が割れてしまうことを「歯根破折」といいます。歯冠破折を起こした場合は、ご自身の目で確認ができるため、歯科医院で詰め物や被せ物といった補綴治療をおこなうことが可能です。しかし、歯根破折を起こした場合、破折の状態をご自身で確認すること難しく、ご自身で気付かないことも多いことから、気付いた時には重症化してしまうケースが多いです。この歯根破折の原因や症状、予防法についてご説明いたします。
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歯根破折の原因
噛み合わせが悪い
噛み合わせが悪いと、噛む際に特定の歯に過剰な力が加わることで、歯や歯周組織に負担がかかってしまいます。この負担が継続的に続くことにより、歯根破折を起こしてしまう場合があるのです。また噛み合わせが悪いことで歯ぎしりや食いしばりを起こしているケースもあり、この場合も歯根破折を招く要因になってしまう場合があります。
神経を除去している
悪化した虫歯の治療の際などに、歯の神経を除去することがあります。通常、歯の神経である「歯髄」には、神経だけでなく多くの毛細血管が走行しており、酸素や栄養を送る役目を担っています。しかし歯の神経を除去することによって、酸素や栄養が送られなくなるため、歯は酸素や栄養を失い死んでしまいます。この状態を「失活歯」といい、健康な歯と比べると脆く割れやすくなってしまうのです。そのため、何らかの力が加わった際や加齢に伴い歯根破折を起こす場合があります。
差し歯でメタルコアを使用している
差し歯治療は、歯の神経を除去する「根管治療」をおこなった後に、「コア」と呼ばれる支柱を立てて土台を作り、その上に人工歯を装着することで歯の機能や見た目を回復する治療法です。保険適用の差し歯の場合、コア部分に金属を使用するため、強い咬合力(噛む力)が加わることで硬い金属から象牙質にダイレクトに衝撃が伝わってしまいます。それにより象牙質がヒビ割れを起こし、歯根破折に繋がる場合があるのです。
外傷
急な怪我や事故、接触の激しいスポーツなどによって、歯に強い衝撃が加わることで歯根破折を起こしてしまう場合もあります。
歯根破折の主な症状
歯根破折を起こした場合、歯の周辺の歯茎が歯周病に罹患したように腫れたりブヨブヨと柔らかくなることがあります。また「フィステル」と呼ばれる、ニキビのようなでき物が歯茎に見られることがあります。これは膿の出口のようなもので、歯茎の内部で何らか疾患が起こっているサインであり、歯根破折の際にも見られることがあります。他にも、急に差し歯がグラグラと動くようになったり、差し歯が何度付け直しても取れてしまう場合は、歯根破折によって歯根が広がったために土台が抜けてしまった可能性が考えられます。差し歯が外れた際に金属のコアが付いていたら、歯根破折の可能性が高いです。