骨粗鬆症の薬、ビスフォスフォネート系薬剤に注意

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骨粗鬆症とは

私たちの体の骨は、常に古い骨を破壊し(骨吸収)、破壊した部分を修復する(骨形成)ことで、丈夫で健康な状態を保っています。この骨吸収と骨形成のバランス(骨代謝)が崩れることで骨が痩せてしまい、脆くスカスカな状態になり、骨折しやすくなってしまう病気のことを骨粗鬆症といいます。

特に高齢者にとって骨粗鬆症は、大きな問題です。高齢になるにつれて、骨形成より骨吸収が進んでしまうことから、次第に骨が痩せてしまいます。そこで問題になるのが骨折です。転倒や骨折は要介護の大きな原因となってしまいます。中でも高齢者が転倒した際に、大腿骨の骨折などをしてしまうと今後の自立が困難となる場合が多いのです。

骨粗鬆症は健康な日常生活を奪ってしまう原因にもなってしまいます。そのため、骨粗鬆症と診断された場合はしっかり治療することが必要です。骨粗鬆症の治療方法には、ビスホスホネート系薬剤という薬が最も多く使用されています。しかし、このビスホスホネート系薬剤は歯科治療にとって大きなトラブルの原因になってしまうのです。

ビスホスホネート系薬剤とは

ビスホスホネート系薬剤は骨代謝のバランスを整える薬です。骨粗鬆症の他にも悪性腫瘍による高カルシウム血症の改善を目的としても使用されています。骨粗鬆症には飲み薬として、悪性腫瘍による高カルシウム血症には注射薬として投与されることが多いです。

ビスホスホネート系薬剤とインプラント治療

インプラント治療は歯茎を切開して、顎の骨にインプラント体を埋入する手術が必要な治療法です。ビスホスホネート系薬剤は骨吸収を抑える事で、骨からカルシウムが出ていくのを防ぐ働きをします。しかし、同時に新しい骨を作る骨形成や歯茎などの軟組織を作る機能も抑制されてしまいます。

その状態でインプラント治療をおこなってしまうと、傷口から細菌が感染することによって傷が治りにくくなり骨が露出してしまったり、最悪の場合は顎の骨が壊死してしまう「顎骨壊死」の危険性があるのです。そのため、ビスホスホネート系薬剤を服用中の方は、インプラント治療などの外科処置が必要な治療は、基本受けることができません。しかし場合によっては治療がおこなえる場合があります。

まず大切なのは、治療前にかかりつけの医師にインプラント治療をおこなうことが可能かどうか判断していただき、歯科医師にも骨粗鬆症のためビスホスホネート系薬剤を服用していることを伝えることです。ビスホスホネート系薬剤を投与中である場合、投与期間にもよりますが、投与中止が可能であれば投与を中止してから、外科的処置をおこないます。場合によっては治療開始3ヶ月前から服用を中止して、治療終了後3ヶ月後からまた投与を始めることもあります。

外科的処置をおこなわなくても、口腔清掃が悪いとことで、顎骨壊死などの副作用を引き起こしてしまう危険性もあります。常に口腔内を清潔に保つようにしましょう。

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