医科用CTと歯科用CT
もともとCTが発明された当初の検出器は、1列の平面『シングルスライスCT』でした。しかしCTの検出器の多列化がはじまり、大きな臓器を短時間で撮影するために 4列、8列、16列、32列、64列…と検出器の列数が増え、現在では動いている心臓さえも拍動を止めることなくCT撮影ができる、『マルチスライスCT』の時代になりました。
しかし歯科用CTスキャンは、シングルスライスCTの時代から『コーンビーム方式』といって円錐状(コーン状)のビームを照射する方法で、1回転の撮影で3次元の立体画像で診断することができ、より正確な情報を得ることができました。
マルチスライスCTの時代である近年、医科用CTも体軸方向(Z軸方向)の撮影範囲(有効視野)も広くなったことで、コーン状のX線でCT撮影していることと同じになったため、「医科用CTもコーンビームCTである」と言われています。
歯科用CTとは?
歯科用CTは歯科に特化したCT装置です。そのため頭全体を撮影するのではなく、顎骨など最初から見たい範囲を絞って撮影することができます 。またコンピュータを駆使したデータ処理と画像の再構成で、断層写真を撮ることができます。さらに撮影時間がかなり短く、約10秒ほどで済むため、被爆線量が医科用CTの1/8~1/50程度と低水準であるため、安心して検査を受けることができます。また医科用の撮影方法が横たわるのに対し、 歯科用CTでは座ったままで撮影することができます。
歯科用CTはインプラント治療だけではなく、歯周病や根幹治療、矯正や歯管治療、親知らずなど、幅広く歯科治療に応用することができ、正確な診査・診断をすることができるため、治療する上での安全性が高くなります。また一般のレントゲンでは見えなかった顎骨の形や内部構造などが様々な角度から確認することができ、さらに上顎洞の形態や粘膜の状態なども立体画像で確認することができます。
また3次元の高画質画像を用いることで、断層方式パノラマX線写真や口内法X線撮影法では判別することができない、痛みの原因や症状を調べることができます。
CTスキャンとインプラント治療
インプラント治療では、手術前に埋入する部分の骨の状態(質、厚み、高さ、形など)を正確に把握することが安全な手術をするための基本となります。
今までのX線検査だけでは確証がもてなかった正確な情報を、CTスキャンにより調べることができるため、切開や剥離をしない手術や骨造成の必要性などの判断がすぐにできるようになります。