妊娠をすることで、医療において様々な問題や制限が起こります。歯科治療においても例外ではありません。歯科ではレントゲンを撮ることもありますし、痛み止めや炎症止めなどの薬も処方されます。また場合によって麻酔も必要となります。妊娠をしている方で、歯科治療をおこなうことに不安を感じている方も多くいらっしゃるかと思います。妊娠と歯科治療の問題についてご説明いたします。
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妊娠と歯科治療
妊娠中の治療について
妊娠中の歯科治療は、妊娠2カ月までは胎児の体の各部分ができ上がってくる器官形成期にあたるため、色々と悪影響を受けやすいので十分な注意が必要です。しかし、妊娠16週目以降の安定期に入れば、ほとんどの歯科治療はおこなっても問題はないと考えられています。もしも妊娠中に歯科医院を受診する際には、事前に産婦人科の先生に相談して、大分県のかかりつけの歯科医院の医師には、妊娠していることや現在妊娠何週目なのか、またご自身の体の健康状態などを必ず伝えてください。
妊娠中は虫歯になりやすくなる
妊娠中は女性ホルモンの影響などの様々な要因から、口腔内環境のバランスが崩れやすくなってしまいます。
その一つはつわりです。つわりは個人差がありますが、妊婦さんにとっては避けられない症状です。つわりがひどい方だと、歯磨き粉の味や匂いを受けつけなかったり、歯ブラシを口の中に入れるだけで気持ち悪くなってしまうことさえあります。そのため、しっかりと歯磨きが出来なくなるため、口腔内環境が悪化しやすくなってしまい、虫歯になりやすくなってしまうのです。改善方法としては、食後すぐに口をゆすぐようにして、歯磨きは一日のうちの体調の良い時におこなうようにしましょう。場合によっては歯磨き粉を付けずに磨いても良いです。
また、口腔内の環境のバランスが崩れてしまうことで、唾液の分泌が減ってしまいます。唾液には口腔内を殺菌する自浄作用や、抗菌作用、食後に酸性に傾いた口腔内を中和することにより、歯の再石灰化を促すという大切な役割があります。しかし唾液が減ることで口臭が強くなったり、歯の再石灰化がおこなわれないため、虫歯になりやすくなってしまいます。さらに女性ホルモンを餌とする歯周病菌が口腔内に増加してしまうため、歯茎が炎症を起こしてしまう歯肉炎を引き起こしやすくなります。妊娠中の女性ホルモンの増加は妊娠中期から妊娠後期にかけてが一番多く、それと比例して歯肉炎が起こりやすくなるのです。お腹が大きくなってからや、出産直後は歯医者に通院するのが大変なため、普段から定期的に大分県のかかりつけの歯科医院で歯のクリーニングなどの予防歯科をおこなうことをお勧めいたします。
妊娠中のレントゲンについて
妊娠中にレントゲン撮影をすることで、放射線による被曝が胎児に影響を及ぼすのではないかと心配している方も多いと思います。歯科用のレントゲン撮影はお腹からも離れているため、胎児への放射線に対する大きな心配は必要ありません。現代の歯科用X線撮影では防護用エプロンを用いた場合、生殖腺や胎児への照射は実質的に測定できないレベルにあるという報告もあります。しかし、妊娠中には精神的な問題も多くあるため、妊娠中、もしくは妊娠の可能性がある場合は治療前に医師に報告したほうが安心です。
妊娠中の麻酔について
局所麻酔薬を注射した場合、胎児への危険性はほとんどないことが報告されています。歯の治療の痛みによるストレスを考えると、安定期に入っていれば局所麻酔は使用した方がよいといえます。
麻酔を使用する抜歯については、妊娠時期でも問題ありませんが、妊娠13週末まではつわりなどの症状があったり、精神的にも不安定で胎児も安定していないため、緊急でない限りは抜歯は避けた方が良いでしょう。また14~27週末であっても、場合によっては避けた方が良いこともあり、妊娠28週以降も緊急の場合以外は抜歯は避けた方が良いでしょう。
妊娠中の薬について
歯科医院で処方される抗生物質の中では、ペニシリン系やセフェム系、鎮痛剤ならばカロナールやアセトアミノフェンが安全だと報告されています。治療方法や患者さんのご希望に合わせて処方をしてもらえますので、もし薬の服用が気になるようでしたら事前に医師に相談しましょう。
妊娠と歯周病の関係
母親が歯周病にかかっている場合、早産や低体重児出産など胎児へ影響を及ぼしてしまう危険性があります。歯周病菌は進行すると歯茎の奥へと侵入していき、歯髄の血管から血液と共に全身をめぐり臓器や器官に侵入してしまいます。この菌は羊水中にまで影響を及ぼしてしまうため、早産や低体重児出産の原因となることがわかってきました。
ノースカロライナ大学の歯周病学教授Steven Offenbacherらの研究によると、母親が歯周病にかかっている場合の早産のリスクは7倍になるという報告があります。これは喫煙や飲酒によるリスクよりも高いのです。早産で生れた新生児の中には、呼吸器疾患や脳性麻痺などの長期におよぶ障害を有していることも少なくないため、このようなリスクを防ぐためにも妊娠前にしっかりと検査と治療を終了させておくことと、妊娠中および出産後に口腔内のケアをおこない、歯周病にならないことが重要なのです。